狭窄性腱鞘炎
原因
狭窄性腱鞘炎(きょうさくせいけんしょうえん)は一般的に「腱鞘炎」と呼ばれており、「腱鞘」が腫れることで、筋肉が骨や関節に力を伝えるための「紐」のような役割をしている「腱」が、スムーズに腱鞘を通過することが出来なくなるために、痛みを伴う状態を言います。
指を曲げる屈筋腱の代表的な狭窄性腱鞘炎には「ばね指」があり、指を伸ばす伸筋腱の代表的な狭窄性腱鞘炎には「ドゥケルバン腱鞘炎」があります。
「ばね指」は母指、中指、環指に多く見られます。「ドゥケルバン腱鞘炎」は母指側の手関節部分に炎症が起こり発症します。
症状
「ばね指」は指を曲げた後にまっすぐ伸ばそうとすると何かに引っかかった感覚を感じ、無理に伸ばそうとするとバネの反発があるかのように不自然な動きをします。単純作業が多く、主に手を使い過ぎる人に発症がみられます。
「ドゥケルバン腱鞘炎」は母指を動かそうとすると、手首の母指側に痛みを感じます。テニスなど手首をよく使うスポーツをする人や授乳中の方、楽器を弾く人などに発症がみられます。
治療
初期には患部を安静にし、この他に症状に応じて、患部に対し電気、超音波などの物理療法、塗り薬、腱鞘内ステロイド注射などを行います。但し、腱鞘内ステロイド注射は3ヶ月以上は症状が出なくなる事が多いのですが、再発も少なくありません。
保存的療法で改善しないときや再発を繰り返す場合は、腱鞘を開く手術を行います。
テニス肘・ゴルフ肘
原因
肘の外側が炎症・部分断裂などを起こした「上腕骨外側上顆炎」を「テニス肘」、肘の内側で炎症・部分断裂などを起こした「上腕骨内側上顆炎」を「テニス肘」「ゴルフ肘」と呼びます。
症状を起こすのがテニス・ゴルフに多いため、通常はこのような別名で呼ばれていますが、家事やパソコン作業などによる、手の使い過ぎで発生することも多いです。
症状
上腕骨外側上顆炎の症状
肘の外側を押さえると痛みがあり、タオルを絞ったり、ドアノブを回すなどの手首をひねるような動きや、物を持ち上げるなどの動きをする時に、肘の外側から前腕にかけて痛みが強く起こりますが、多くの場合、安静時の痛みはありません。そのため、放置してしまい、症状が進行すると安静にしている時でも肘に痛みが起こるようになります。
上腕骨内側上顆炎の症状
肘の内側を押さえると痛みがあり、肘を曲げて重い荷物を持った時や、電車などのつり革につかまっているとき、手を握りしめた時などに痛みを感じますが、症状が進行しない限り、日常生活の範囲で強い痛みを生じることはありません。
テニスではテニスのフォアハンド時、ゴルフではスイング時に痛みます。
治療
痛みを感じる動作を止めることが大切ですので、完治するまで、スポーツは控え、安静を保ち、ストレッチなどの手技療法や物理療法(温熱、超音波など)を行ないます。また、物を持つ機会が多い方、痛みが続く方にはテニスバンドを処方します。
炎症を抑えるためには保存療法を基本に行いますが、症状が重い場合はステロイド注射を行うこともあります。
いずれも、ほとんどの場合、保存療法で完治しますが、急性期に適切に治療が行われないと完治するまでに1年近くかかることがありますので、初期の治療が大切です。
保存療法で改善無く、生活に支障が生じる場合には手術療法が必要になる場合もあります。