腰椎椎間板ヘルニア
原因
腰椎の椎間板と言われる軟骨組織が、本来あるべき所から飛び出て、神経を圧迫して痛みなどが生じる疾患です。
腰に急に負担がかかる、または繰り返し負担がかかることにより、椎間板に圧力が加わった結果、腰椎椎間板ヘルニアになるのです。
腰椎椎間板ヘルニアは、急性タイプと慢性タイプの二つの型に分類されます。
急性のヘルニアは、重いものを急に持ち上げることや、くしゃみをした場合などに起こるものです。
慢性の腰椎椎間板ヘルニアは、繰り返しの動作や腰への慢性的なストレスです。腰に違和感を感じてから、その後痛みを感じたり、感じなかったりといった症状を繰り返しながら次第に慢性のヘルニアの症状を起こすようになります。
腰椎椎間板ヘルニアは20〜40代の方に多く発症し、ほかの腰椎の病気に比べ、若い人に多いという特徴があります。しかし、10代では椎間板がまだ老化していないので、発症は比較的少ないようです。50代以降になると、ヘルニアと似たような症状を起こす腰部脊柱管狭窄症のほうが多くなります。
症状
腰椎椎間板ヘルニアの初期症状は、同じ姿勢を維持することが辛い、運動能力や足の感覚の低下などがあります。これらの症状が進行すると本格的な腰椎椎間板ヘルニアの症状が出てきます。
痛みは片側の下肢や、臀部から足にかけて発生することが多くありますが、悪化すると、片側だけでなく両側に出たりもします。痛みの程度は、夜も眠れないほどの激痛、ジワジワと痛む…など、人それぞれです。但し、急性のヘルニアの場合は、多くは激しい痛みが特徴で、痛みの為に歩行することが困難になる事もあります。
治療
腰椎椎間板ヘルニアのおよそ80〜85%は自然経過で症状が回復したり治癒したりするといわれています。
まず、痛い時には、体を動かさない様(安静)にすることが第一です。次に、コルセットの装着、牽引や腰部マッサージなどがありますが、マッサージは刺激で症状が悪化してしまう事もあるので注意が必要です。
治療は消炎鎮痛剤、筋弛緩剤、ビタミン剤などを投与します。痛みが強い場合は神経ブロックを行なうこともあります。
これらの治療法ではつらい痛みが改善されない場合、下肢の脱力などの麻痺が高度の場合には、手術がおこなわれます。
腰部脊柱管狭窄症
原因
腰部脊柱管狭窄症は、何らかの原因で腰部の脊柱管(神経が通る管)が狭くなり、脊柱管の中を通っている神経が圧迫されることによって起こる病気です。
腰椎椎間板ヘルニアと同様に坐骨神経痛を起こす病気の一つといわれています。
狭くなる原因は、生まれつき脊柱管が狭い先天的な原因と、椎間板や椎間関節の変性により発症するなど後天的な原因があります。
若年から高齢の方まで、あらゆる年代で発症する可能性がありますが、加齢も原因と言われ、50・60歳代~70歳代までの方々に、多く発症する傾向にあります。
先天性は遺伝が考えられますので、親や親族で発症している人がいれば、若くても発症する可能性があります。
症状
腰や臀部、大腿部に痛みやしびれが主な症状です。症状は立ちつづけたり、歩いていると増強し、座ってしばらく休むと症状が和らいで、また歩けるようになります(間欠跛行)。
進行すると、下肢の力が落ちたり、肛門周囲のほてりや便や尿が出づらくなったり、逆に尿が漏れる事もあります。
治療
腰椎の牽引治療、腰部コルセットの装着、ホットパックなどの温熱療法などがあります。
痛みに対しては非ステロイド性の鎮痛薬や内服薬、貼付薬、塗り薬、足のしびれや痛みの原因となっている神経に局所麻酔をして痛みが伝わるのを遮断する神経ブロックを行います。
以上の保存的加療にて効果が得られない場合、手術療法を行うことがあります。