変形性膝関節症
原因
変形性関節症(へんけいせいかんせつしょう)は加齢、肥満、けが、O脚・X脚などにより軟骨が変性したり、摩耗したり、または滑膜や骨の増殖性の変化をおこし、痛みや腫れが生じます。
中高年になって膝が痛くなる病気はいくつかありますが、その中で一番多いのは「変形性膝関節症」です。
症状
初期にはあまり自覚症状ない場合が多く、膝を動かし始めるときに痛みを感じることはあっても、しばらく休んだり、湿布などで痛みが治まるため、放置してしまいがちです。
変形が進行すると、膝を動かす事自体が辛くなり、立つことも困難になります。また、膝に水がたまって曲げることが困難になる場合もあります。
治療
治療は、運動療法を行い保存療法が主体となります。痛みが強い場合は、痛み止めや湿布などの消炎鎮痛剤の処方、歩行に支障が出れば、ヒアルロン酸の関節注射を行います。
日常生活に支障のある場合は人工関節置換術などの手術を行う場合もあります。
膝靱帯損傷
原因
スポーツ外傷や交通事故などで大きな力が膝に加わった時に、その外力の方向に応じて様々な靭帯損傷を生じます。
膝関節を支えている靭帯には、膝の前方動揺および、下腿の回旋動揺を防ぐ靭帯「前十字靭帯」、後方動揺を支える「後十字靭帯」、そして膝の左右を支える「側副靭帯」があります。スポーツ選手に比較的多く発生するのは内側側副靱帯損傷、前十字靱帯損傷です。非常に強いな外力を受けると複数の靭帯に損傷が及ぶこともあります。
症状
受傷後に膝の腫れが出現し、強い痛みにより歩行が困難になることが多いです。損傷の程度にもよりますが、2~3週間で徐々に腫れが軽快するにつれて歩行できるようになります。しかし、損傷が高度で、膝の不安定性が残存した場合には半月板損傷や軟骨損傷などを生じ、将来的に変形性膝関節症への進行が早まる可能性があります。
治療
スポーツをしない、全体的に膝が安定している場合は、サポーターを装着して早期から痛みの無い範囲で可動域訓練を行い、筋力低下を最小限にとどめるようにするなど、保存療法を選択します。
前十字靭帯損傷により、日常で膝くずれなどの膝不安定性が明らかな場合、スポーツの継続を希望される場合は手術療法をおすすめします。
半月板損傷
原因
半月板損傷は、ラグビー、サッカー、バスケットなどの人体の接触が多いスポーツ競技や、バレーボール、野球、レスリングなどの繰り返し膝に負担が加わりやすい種目のスポーツ選手に多く発症する傾向にあります。
スポーツなどの原因で過剰な衝撃が加わったり、不用意なひねりが加わることで損傷を受けます。
症状
突然、膝が痛み出し、膝の曲げ伸ばしの際に痛みやひっかかりを感じたりします。また、急に膝が動かなくなる「ロッキング」という状態になり、歩けなくなるほど痛くなる場合もあります。
慢性化すると関節炎が起こります。また、膝関節に水や血がたまることがあります。
治療
まずは局所の安静が重要です。そして、軽症の場合は、装具やテーピングなどの補助補強、痛みが強い場合は消炎鎮痛剤の内服、リハビリテーションなど保存的治療を行います。リハビリテーションや消炎鎮痛剤の処方などの保存的治療で症状が改善しない場合には手術を行います。
手術法には切除術(損傷した部分を切り取る)と縫合術(損傷した部分を縫い合わせる)の2種類があり、通常は関節鏡を使った鏡視下手術を行います。