腰痛と脳

こんにちは。鍼灸師の脇谷です。

先日、年単位の連載休止を繰り返している有名な漫画家さんが、

その休載理由が「椅子に座れないほどの腰痛」とのことで話題になりました。

この方の腰がどんな状態なのか、職業柄とても気になってしまいます。。

というわけで、今回は「腰痛」をテーマにしたいと思います。

日本で腰痛を訴える人は2800万人にも及びます。

国民病とも言える腰痛症ですが、原因不明のケースが少なくないことはご存じでしょうか?

2022年1月にNHKで放送された「東洋医学のホントのチカラ」という番組では、

漢方やヨガなど様々な治療・養生法と共に、鍼の特集で腰痛治療について紹介されていました。

放送では10人の腰痛患者を治療して、腰への施術で改善するケースが7人。

残り3人は腰の筋肉や関節に問題がないにも関わらず、痛みを訴えていたそうです。

その際、原因は脳にあると判断し、手足のツボへ鍼をして脳機能を改善して腰痛を治していました。

このとき鍼刺激によって、脳の痛みを抑制する部位と関係するネットワークに変化が見られることがMRIを通して確認されたそうです。

長期間のストレスは、痛みを抑制する脳機能を低下させるとされ、これが慢性腰痛の原因となりうると言われています。

また、治療に使用されるツボの1つ「合谷」は、脳の前頭葉や中脳の血流改善も確認されていて、うつ病治療にも使われています。ストレスの多い現代社会特有の原因と言えます。

臨床では手足のツボで離れた部位の症状が改善されるのは、しばしば見られることですが、胡散臭い、患者の思い込みだなどと信じてもらえないことも少なくありません。

その意味でも、鍼の作用が科学的に確認されたのは大きな意義があると思います。

なかなか痛みが改善されない場合の治療選択肢として、鍼灸が認知されることを願うばかりです。

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